動物農場(Animal Farm)

ジョージ・オーウェル作 高畠文夫訳

オーウェルと言えば、「1984」や「カタロニア讃歌」などが有名だが、本作から受けた衝撃は、読後10年以上が経過した今でも色あせていない。人間たちによる過酷な支配に耐え切れず、豚が中心となって反乱を起こし、ついに人間どもを追い出すことに成功する。動物中心の農場経営は、表面上順調に進んでいるかのように思われたが、徐々に豚による圧政へと変化していく。ロシア革命を風刺した作品と紹介されることも多いが、登場人物の性格が細かく書き分けられ、読んでいる内にどちらが動物または人間なのか区別がつかなくなり、人間社会をほうふつとさせる状況に背筋が寒くなるほどだった。

現代にも通じる最高の寓話の一つとして、今でも全く古さを感じさせず、これからも古びないだろう。翻訳も良い。原文は農場用語が頻出するため、少し読みにくい部分もあるが、比較的読みやすい英語で書かれていると思う。ここでご紹介できないのが残念だが、特に最後の文章は、簡潔にして最良の生きた英語そのものであり、今でも頭から離れない。

2021年2月28日