ねじの回転(The Turn of the Screw)

ヘンリージェイムズ作、土屋正雄訳、光文社

今から100年以上前に発表され、ホラー小説の元祖とも言われる小説。ホラー小説というジャンルに明確な基準があるのかどうか分からないが、かりにスティーヴンキングのような内容を想像して読むとすれば、肩すかしを食らうかもしれない。細部までよく練られ、構成も緻密で伏線もすべて回収しており、21世紀の今でも全く古さを古さを感じさせなかった。ラストの展開は、個人的に浦沢直樹の名作「モンスター」をほうふつとさせ、背筋が凍えるような感覚を味わった。未読であるが、同じ作者の最高峰の作品として「鳩の翼」(1902年)、「大使たち」(1903年)、「黄金の盃」(1904年)が有名なようだが、どれも700ページを超える大長編のため、尻込みしている。

2020年12月30日